- 書籍データ
- タイトル 世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた
- 著者 中野信子(脳科学者)
- 出版社 アスコム
- 第1刷 2021年9月14日
- 第15刷 2022年3月30日
‘世界で通用する、本当に賢い人の要件’とは
凡人の私には程遠い話だとは思いつつ、そもそも「頭のいい人」ってどういう定義なんだろう?という好奇心もあってこの本を手にしてみました。
逆境も自分の味方にして、したたかに生き抜いていくのが、「世界で通用する、本当に賢い人の要件」だということ。
「『世界で通用する頭のいい人』というのは、ただの秀才ではない」
プロローグ 9ページより
逆境を味方にする、それってどんな風に?と…とりあえず読んでみることにしました。
結論としてはとても「生きていくこと」に参考になる内容でした。少なくとも私にとってはですけど。なので中身を簡単にご紹介しますね。もちろん事例とか細かな根拠などは実際に本を読んでいただいた方がいいので、ごくシンプルに、そして特に私が参考にしたい部分を抜粋しますね。
世界の「頭のいい人」はどんな人か?
- 空気は読まない 自分が好きなことと得意なことを貫く
- あえて勝ちを譲る 相手に花をもたせることで、能力の高さを見せつける
- 決まった儀式を行う 勉強や仕事の前に、集中力が高まる動作をする
- ニコニコしながら主張する 角を立てずに相手を操縦!
- 断られたくらいであきらめない 情熱をとにかく、どんどんぶつけていく
- 自分の得と相手の得を考える 誰かのためになることをする人は、快感を得られる
- 話し上手より聞き上手 知らないうちに、相手を自分の思い通りに動かす
- 欠点を悠然と受け止める 自分のマイナス部分を、冷静に分析する
- いつでも仕事が楽しそう どんな仕事でも、楽しいものに変えてしまう
- 嫌いな仕事は他人に譲る 他人の適性を見極めて、仕事を上手に分担する
- 皆を上手に褒められる いい人が寄ってきて、いい関係を続けられる
こんな風に項目分けされているんですが、どれもこれもなるほど…なんですよね。たとえば「自分が好きなこと得意なことを貫く」だと、つまり苦手なことに時間は割かないということなんですね。
苦手なところを克服するために時間や労力を使うのではなく、自分の得意なところをブラッシュアップするために使うのに徹していました。
実はこの方法、良い結果を出すには、非常に理にかなっています。
自分が苦手なところをフォローしてもらうためには、他の人を頼りにします。自分が得意なことには、自分の能力をフルに発揮します。結果的に、自分にも今日リクした人間にも素晴らしい成果がついてきます。
本文 18ページより
ついつい自分でやった方がと抱え込んでしまうことが多いですけど、確かに私の周りにも、とても上手に周りの人を巻き込んで仕事が早い人がいます。巻き込まれると忙しくなるんですけど、結構楽しいものですよね。巻き込む人のキャラクターにもよりますが…上手にってところがミソかな?スポーツで言えばパスがとてもうまいイメージですね。
それから「ニコニコしながら主張する」もとても参考になりますね。
別に相手を議論で打ち負かさなくてもいいのです。ただ相手の言うことをしっかりと耳を傾けながらも、笑顔を絶やさず、自分の主張は曲げない。
それだけで、あなたのペースに巻き込まれて味方になってくれる人が倍増します。
本文 38ページ
ほかにも「話し上手より聞き上手」もとても考えさせられました。人はどうしても自分の言うことをわかってもらうことに集中しがちですからね。わかってもらえないとイライラする人の多いこと…だからひっくり返せばね
最初はとにかく相手にしゃべらせること。人は誰でも、自分の話をちゃんと聞いてくれると嬉しくなるものです。すると相手は気分が良くなってきて、聞いてくれる人を信頼しやすくなります。(「ラポールの形成」信頼を得る方法)
相手に好意と尊敬の念を持つことも大事です。共通点を探すのも重要なこと。
本文 52-53ページ
そしてここに書かれている各項目は、どれ一つとっても対人関係の役に立つことだと感じました。最近すぐ切れる人が多い気がしますけど、「自分の欠点を悠然と受け止める」ができる人が増えれば世の中今より住みやすいかも。
世界の「頭のいい人」が心がけていること
これは前章ともとても関連が深いようですが項目を書いておきますね。
- 周りにいる人たちを虜にする 相手の自尊心をくすぐって好意を寄せてもらう
- 敵を味方に変えていく 面倒な相手ごとに、対応を変えていく
- 適度なストレスを与える 試験やプレゼンなど、アウトプットの場を持つ
- グチをまったく言わない 周りの人や環境のせいにしない
- 本からなんでも吸収する 本を先生だと考えれば、先生は選び放題
- ライバルを見つける 足の引っ張り合いではなく、長所の盗み合いをする
- 楽観主義である 「なんとかなるさ」ではなく「やればできる」
この中の項目にはなんだか難しそうなこともあります。相手の自尊心をくすぐるなんて技、私にはとてもとても…ですけどね。でも相手の話を聞くことがその第一歩と言われてみればなるほどな~でした。
例えば「敵を味方に変えていく」なんてそんな簡単に?と思ってみたら
人格ではなく行動だけを否定する
相手の意見をまずは受け入れ、時間をおいて再度交渉
嫌がらせしてくる人にはアドバイスを求めよう
本文 85-89ページ
「グチを言わない」ってわりと簡単そうでなかなかできないことですよね。たまにグチでできてるの?と思うぐらいの人も見かけますが、そんなことに時間を費やすのは人生の無駄かもしれませんね。多分頭のいい人なら、愚痴を言う前にその解決策を探すはずですからね。でも凡人の私はやっぱりついつい…
彼の強さの秘密は「人のことを悪く言わない」という一点につきる。
どんな人からも学んで、自分の力にしていこうという、能動的な「攻め」の生き方
どんなに悪い状況でも、何か別の物事のせいにしない。「現在の状況から何か得られるものはないか?」「もっと良くしていくにはどうすればよいか?と考えることに使う方が、ずっと楽しいし得
本文 97-99ページ
たしかに…自分は絶対悪くない、悪いのは全部周りのせいだって人時々見かけますが、とてもじゃないけど「頭のいい人」には見えないですね。反面教師でも学ぶ価値ありです。
「本からなんでも吸収する」は何となくわかるつもりでいたのですが、この考え方は目から鱗でした。
誰も味方がいないのであれば、本を味方にすればいい
「誰にも教えてもらえなくても、世界には多くの本がある。これからは本が君の先生だよ。どの科目を学ぶのかも、どの先生に教えてもらうのかも、君の自由だ」
本は読者を差別することがありません、怒ることはないし、やめたければ途中でやめても構いません。自分のペースに合わせて、好きな時に、好きなことを勉強できるのです。
どうか、あなたの気に入った、良き先生となる本を見つけてください。少しのお金を出すだけで、素晴らしい先生たちが、皆、あなたの力になってくれるのです。
本文 100-105ページ
ねえ…なるほどでしょ?そんな風に考えたことはなかったですね。昔から本は友達みたいな私でも、本は自由に選べる先生だとは。なんだか読書が前より楽しくなりそうです。
世界の「頭のいい人」のスケジュールの立て方
- やらないことリストを作る 制限時間を設けて、やるべきことだけをやる
- 自己診断書を作る これまでの努力を書き留め、目標を数値化する
スケジュール管理って、ほんとに継続が難しいですよね。最初の計画が甘いのかと思ってたんですけど…そういうこと?
期限が決められた目標を達成するには、できるだけ「やること」の数を減らすべきです。それで余った時間や労力を「やるべきこと」にまわす必要があるわけです。
やろうと思っていたんだけど、挫折してしまっててというのは、怠惰だからできないのではありません。やることがどんどん増えていってしまった結果、できなくなってしまうということも多いのです。
チェックリストとは「何かをするためのもの」だと考えられていますが、実は「なにかをしないためのもの」でもあるのです。
本文 120-126ページ
つまり…やることの「断捨離」ですね。私横着なので、そもそも断捨離苦手なんですけど…「やらなくていいことリスト」(笑)ならがんばれそうですね。
書き出すことで、成果をあげたりやる気を出したりする方法があります。一つは「自分の努力の記録」、そしてもう一つは「目標を数値化すること」です。記録するというのはモチベーションを維持するうえでとても重要なポイントです。
ポイントは、目標を達成できなかった(できないかもしれない)ことで、あなたの意欲が失われてしまうことを防ぐというところにあります。
適度な難しさであることが、モチベーションを維持する秘訣です。
本文 128-133ページ
世界の「頭のいい人」の自己分析と自己改良
- 流れ星に願い事が必ずできる いつも自分の夢について考えている
- 飽きっぽいことを知っている 飽きないように、多くの楽しいことを見つける
- 「見た目」を大切にする 「好感度の高い外見」を心がける
- 強気のふりをする 自己イメージが自分を作る
- 食べ物で脳をチューンナップ 脳に良い食材をとり、よくない食材をひかえる
流れ星に願いを言えたことないですね。なるほど~いつも考えていることしか言えないですからね
流れ星に願い事が言えた時点で気持ちは本気、夢の実現に、確実に近づいているわけです。
目標を定め、そのことをずっと考えている中で、そのためにどうすればよいかという知恵がうまれた。
自分が心底から望まないことだと、目標に向かって迷わず一直線に進むことはできないと思います。
本文 136-141ページ
私も若いころは人は見た目ではなく中身だと本気で思っていた時期がありました。でも年を重ねてみて外見も大事だと思うようになりました。
「光背(ハロー)効果」外見や経歴が、性格などの内面的な要素と直接の関係があるわけではないのに、その人の評価に意外なほど影響を与えてしまうという心理効果。
同じ実力の人間がいたら、見た目が少しでも良いほうが得
本文 153-154ページ
仕事をしながらいろんな人を見ますが、見かけによらないかどうかは話してみるまで分からないんですよね。ということは最初は見かけだけで判断してしまうということなのかな?と思います。
食べ物って大事ですよね。私は病気になってからほんとにいろんな健康の本を読みましたが…方法論については専門家の間でも両極端の場合も多いんですね。でも共通して言えることは「体は食べたものでできている」ということはたいていの本に出てきます。
大切なことは、自分の脳の状態が、自分の気合や精神力だけではきまらないということ。脳の健康状態は食べるものから影響を受けるということを、きちんと知っておいてほしいのです。
本文 166ページ
世界の「頭のいい人」に近づくために
- 集中力を身につけない 「集中しなきゃ」でなく、集中できる状態を作る
- 身近な目標を作る すぐ実現できる目標が、怠けグセのある脳を活性化
- 脳内に検索タグをつける 記憶力がいいとは、上手に思い出せることを指す
- 五感を総動員させる 働かせる感覚器官が増えれば、記憶も強化される
- よく寝る 覚えたらすぐに寝て、起きたらまた覚えるを繰り返す
- 感情をふるわせて覚える 勉強中に笑ったり感動したりすると、記憶が定着
集中力、私は昔から「ない」と言われ続けてきました。途中で興味のあることを見つけるとそちらに行ってしまうんですね。だから集中力については全く自信がなかったのですが、
まず「集中力を身につける」という発想を捨ててほしいと思います。
脳というものは、集中できる環境をつくってやると、勝手にそのことに集中してしまうようにできています。「集中力をつける」ための意味のなさそうな努力を一生懸命するよりも、脳が集中しやすい環境づくりをすることの方が、ずっと簡単で効果的なのです。
本文 168-169ページ
というところを見て少しほっとしました。
それから「三日坊主」ね。飽きっぽいという共通点はあるんですが…「三日坊主を引き起こす原因を知っておこう」という項目で
一つ目は、一時的な強い気持ちだけが動機になっている
二つ目は、途中で遭遇した外的な要因に左右される
「痩せる」も「合格する」も、常に心に描くには遠くて抽象的すぎる目標。イメージしやすい身近な目標を、代わりに設定してやる必要がある。ダイエットなら「体重計に乗る」受験勉強なら「偏差値をあげる」など
本文 174-177ページ
この章では著者の専門脳科学者ならではの脳の仕組みと記憶についても詳しく書かれています。覚えたら寝るを繰り返すと効率がいいそうです。だから一夜漬けは最悪の記憶法とのこと。確かに一夜漬けで覚えたことって次の日には忘れますよね。
記憶力に自信がないという人でも、自分で意識できないだけで、見たものは実際には記憶の中に意外と入っているものなのです。問題は、必要な時に、必要な「写真」を取り出せるかどうかです。
どうすればうまく利用できるのかというと、情報に「検索タグ」をつけておくという工夫をすることが大事です。
本文 184-185ページ
それから不思議なことに何度見ても読んでも忘れてしまうことの方が多いのに、ほんの一瞬目にしたことがはっきり記憶に残っていたり…人の記憶って不思議なものです。
頭のいい人の定義は人によって違うと思います。でもこの本に出てくるような「頭のいい人」になら、ぜひなってみたいものです。
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