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未完の大作グインサーガ

※キャッチアップ写真は私の本棚にあるグインサーガです。本編の第1巻と外伝の第1巻、中はもうずいぶん古くなっていますけど…いまだに手放せない本の一つです。

目次

衝撃の出会い 和製ヒロイックファンタジー 

あれはもう何年まえのことになるでしょう‥20代のころだから…行きつけの本屋さんに入った途端、目に飛び込んできたコーナーがありました。平台に積まれた10巻の本。ちょうどその書店でフェアをやっていたんですね。表紙には豹の頭と銀髪の双子、一目で手に取りレジに直行した私は、それからあっという間に10巻を読破。以降新刊が出るのを待ち続けるほど、この作品が好きになりました。

まさに私が思い描いていた「ヒロイックファンタジー」そのものでした。一夜にして滅びた国の王子と王女の前に、年も名前もわからない豹頭の戦士が忽然と現れた。その後も次々と現れる魅力的なキャラクターとともに、私はこのグインサーガの物語の世界にどっぷりと引き込まれていきました。

そもそもこういったファンタジー作品って、海外作品しかないという刷り込みもあって日本の作者さんによる作品ということだけでも衝撃的でした。しかも…こんなハードな作品が女性作家さんということがまたびっくりでした。後年この作品はコミック化やアニメ化もされていたので、ご存じの方は案外多いかもしれませんね。

知らなかったけど知っていた作者 栗本薫さん

このときは作者の栗本薫さんも、私にとっては初めての作家さんでした。ところが写真をよく見たらどこかで…?なんと毎週楽しみに見ていたクイズ番組「ヒントでピント」の紅組キャプテン、中島梓さんでした。作品によってペンネームを使い分けていたんですね。(小説は栗本薫さん、評論その他は中島梓さん)あの人がこういう小説を書くの?というそのギャップもすごかったです。いえ…そのギャップは知れば知るほど底なしのギャップだったんですけどね。とにかく当時の私はテレビで見る中島梓さんと、この本の作家さん栗本薫さんが、同一人物であることだけで十分ビックリしたものです。

ギネスには載らない世界最長の物語

追い続けて気が付けば100巻を越えてなお続く作品。これだけの長編にもかかわらず、中だるみもなくその世界観も一貫してぶれずに続く作品はほんとにまれだと思います。(ただし外伝などで物語はいろんな方向に広がっていきました)

そして130巻目で栗本薫さんはがんでこの世を去りました。作品は未完のまま…。ほんとにこの作品のラスト、見たかったです。その思いはもちろん私だけではなくて、このままではあまりにももったいないということで複数の作者さんたちが続きを書かれているのですが、残念ながら私はその続きを読んではいなかったです。見てみたい気持ちはあるんですけどね…。ミロのビーナスの腕のように、それぞれの心の中のラストがあるから~なんて自分に言い訳してますが。でも今は機会があれば見てみたいかな?と思います。

一人の作者さんとして書かれた小説としては文句なしの世界一の長さではありましたが、ギネスブックでの申請は却下されたそうです。理由は分冊であることと、申請時未完であったためらしいですが、あの本を1冊にって土台無理ですよ~文庫で私の本棚4列以上ですから。外伝だけでも1冊では絶対無理な分量です。その話を聞いたとき「ギネスブック」って頭固いな~どうでもいいことの世界一は記録してるのにな~なんて思いましたけどね。まあそこのルールはルールなんでしょうね。

一人の作家さんが書くことの意味

実は私、驚異の大長編「ペリーローダンシリーズ」も読んでいましたが、複数の作家さんの作品のせいなのか、それとも海外作品の翻訳のせいなのか、途中で物語の印象が変わってしまって、読むのをやめてしまったんですね。リレー形式の作品とは知っていたものの、なんか違うかな?って、すでに何巻まで読んだのかの記憶もありません。これはグインサーガと出会う前でしたけど、最初の「大宇宙を継ぐもの」は面白かった記憶があるんですけどねえ。あとは忘れてしまってますね。

だからなおさら一人の作家さんが綴る100巻以上の物語、とても楽しみだったんですよ。

魅力的なキャラクター

この作品大長編なだけにキャラクターの数も多いんです。

やはり主人公グインの人としての(頭はなぜか豹ですが…)包容力・決断力・行動力など、王者としての要件全部そろえてるところがね~まさにヒーローです。記憶がなかなか戻らない葛藤が人間らしさを強調していた気がします。こんな人いたら全面的に頼ってしまいますよね。しかも幼い王子と王女を守り続ける強さがね。

個人的に一番好きだったのはイシュトヴァーンなんですが…途中王様になってからキャラが変わってしまって…傭兵時代の彼の自由な雰囲気が好きだったんですけどね。

それからアルド・ナリス。絶世の美男子で頭脳明晰、すべてのことに精通したクリスタル大公、だけでも女性人気独占なのに、そもそも病弱と来て母性本能まで持ってくことに…彼の死を悼んだファンは多いと思います。

吟遊詩人マリウス。アルド・ナリスの異母弟でとにかくおしゃべりと歌が大好きな青年。戦いが嫌いで自由を愛する愛嬌の人。

リンダ。パロの真珠と言われた双子の片割れの王女。イシュトヴァーンと恋に落ちるが破局、自らの予知によりナリスと結婚した。幼いころはかわいかったですよ~気が強くていつもおどおどした弟を元気づけて…大人になってあの生き生きとした姿が影を潜めたのが残念です。

レムス。せっかく王になる道を用意されていたのに一番かわいそうかも…その弱さを悪につけこまれて傀儡となってしまって…

スカール。草原の黒太子。この人もカッコよかったですね。愛する人を失った切なさもありますが…

ほかにもたくさんいますが、時間も長いせいか、キャラクターはそれぞれがいろんな要因で変遷していきます。誰が主役になってもおかしくないキャラクター設定でもあって、若かった私は夢中で読んだものです。

残された謎は永遠に…

やはり心残りがあるとすれば、グインの正体(もちろんケイロニア王とかはわかっていたものの)どういうきっかけで豹頭の仮面をかぶったのか。そしてなぜすべての記憶を失って?それとも最初からその姿で生まれた?その疑問は結局、永遠の疑問として残ってしまいました。最初に読んだ時から一番気になっていた部分だったんですけどね…。

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こちらは栗本薫さんの絶版 130巻目の「見知らぬ明日」です。最初の方が見つからなくて…

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こちらのノベルズは1巻から見られるみたいですね

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こちらはコミックス、中古のようですが1巻です

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