- 書籍データ
- タイトル 夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク
- 著者 水野敬也
- 発行所 (株)文響社
- 第一刷発行 2022年5月24日
読み終わって気がついたんですが、1〜4を飛び越えての0だったんですね(笑)。
「本物の夢」を見つけるために
あらすじ 夢の無いサラリーマンの前に現れた神様は
この作品は夢がないとか、パワハラに苦しむ人、親との関係に悩む人に特に読んでみてほしい作品でした。
平凡に会社勤めをしていた僕は、新しい課長からのパワハラに苦しみながらもやめることもできず、どうしようもない状況に追い込まれてしまいます。そんなときコーヒーを買って席に戻ろうとした僕は、「自分、そっち行ったら、死ぬで」と声をかけられます。振り返ると掃除のおじさんが立っていました。それがゾウの頭を持つ神、ガネーシャとの出会いでした。
ガネーシャはガネーシャで、平凡な人間の夢をかなえて宇宙一の偉人に育てると、他の神様たちに大見えを切って降臨したものの、その相手にはそもそもかなえるべき「夢」がなかったという衝撃の事実に直面します。最初から大きなダメージを受けたガネーシャですが、気を取り直してまずは「本物の夢」を教えることにします。大食らいでダジャレ大好きな大阪弁のゾウ頭の神様(なんでインドの神様が大阪弁?なんて疑問は置いといて)。素直な僕は彼を崇め、一見ハチャメチャなガネーシャの行動に右往左往しながらも課題をクリアしながら成長していきます。そしてガネーシャのペットのバクは、僕への対抗心を燃やして、あれこれけしかけたりして話はどんどんおかしな方向へ…途中でガネーシャの父神シヴァ神やお釈迦様まで現れてのドタバタ劇が展開します。
一気読みする面白さ
とにかく一気に読みました。小説としてもとても面白かったしテンポもよかったし…そしてダジャレ連発の中にとても深い学びがある作品でした。中には世界の偉人と呼ばれる人々のエピソードや名言がちりばめられていますので、それをまたグクってみたら知識の幅が広がるでしょうね。
神様をこんなにいじっていいの?というぐらいの言いようなんですが、最後のシーンには面食らうどころか爆笑してしまいました。そして話の途中では私も涙ぐんでしまうシーンもありました。
「本書の使い方」が書いてあった…実践しないと意味がない?
本書の使い方
これからあなたには、ガネーシャから出される課題を実行してもらいます。
課題は、ガネーシャがいうように過去の偉人たちがこなしてきた週間であり、その気になれば誰にでも実行できる内容になっています。
また、ガネーシャの課題は、
「やりたいことが見つからない」
「将来の夢がない」
という人だけでなく、
「今、何らかの夢を持っている」
人もぜひ挑戦してみてください。
この物語の主人公も過去に夢を持ったことがありましたが、それは周囲の期待に応えるためのものであり、”本物の夢”と呼べるものではありませんでした。
どうすれば、”本物の夢”を見つけることができるのか?
そもそも、”本物の夢”とは一体、どのようなものなのか?
この問いの答えは物語が進むにつれて明らかになりますが、言葉として知るだけでなく、熱の通ったあなただけの「夢」を見つけるために、ぜひ課題を実行してみてください。
そして、もし課題を実行しない場合は、この物語の主人公がそうだったように、あなた自身の人生を生きることができなくなってしまう-生きたまま、死んでしまう-可能性があることをご了承ください。
さあ、それでは一度大きく深呼吸をして、
ガネーシャの課題にとりかかりましょう。
本文 p96-97
気が付いたら付箋だらけの本 勇気をもらえる言葉がたくさん
とにかくこの本は順を追っていくと、「僕」と一緒に成長できる物語です。あまりにも学ぶ点が多いのですが、ここには特に私が印象に残った(付箋のついた中でも特によかったところ)を引用しておきますね。
「夢って、必要なものでしょうか?」
「ガネーシャ様は、最初に私と会ったとき、こうおっしゃいましたよね。私はこれまで『勉強をやれ』『仕事をやれ』と言われて、悪い成績を取ると怒られてきたと。でも、夢も同じなのではないでしょうか?『夢がない人間はダメだ』と言われ、『夢を持たなければ』と焦らされる。私は、過去に『良い学校に入る』とか『良い会社に入る』という夢を持ったことがありましたが、それも結局、周囲の期待に応えるために持たされた夢だったと思います」
本文p68 僕の言葉
ここね、ほんとに身につまされるところでした。「夢って必要なの?」という問いは、私も心の中で何度もしてきたものですから、人に夢のことを聞かれるたびにはっきり答えられないことに、ある種の強迫観念を感じてきたこの「僕」の気持ちね。でもそれに対するガネーシャの答えが
「ワシは、夢を持たなあかんなんて一言も言うてないで」
「そらそうやろ、人間が生きるうえで大事なもんは他にたくさんあるしな。空気、水、食べ物……」
本文p68 ガネーシャの言葉
そしてガネーシャはついて来いと言って彼を会社のトイレに連れていきます。そして「本物の夢」を疑似体験させたうえで
「夢は、生きる上で、空気や水や食べ物よりも大事になることがあるんやで」
「夢にはな、物事の『意味』をまるっきり変えてまう力があるんや。これまでは面倒でしかなかった作業、ありふれた風景や出来事……何の変哲もなかったものが特別な意味を持ち、とてつもない輝きを放ち始める。それはつまり、人生が輝きだす、ちゅうことや」
本文 p69 ガネーシャの言葉
そして契約書を差し出したガネーシャに、契約書を交わしたらどうなるのかを問う僕。
「何もかも、変わるやろうな」
「”本物の夢”を見つけた人間はな、以前とはまるっきり違う人間になってしまうんや。今まではやる気がわいてこうへんで、何をやっても楽しない日々を過ごしてたのに、毎朝、ワクワクしながら飛び起きて、寝る間も惜しんで頑張れて……いや、そもそも『頑張る』ちゅう感覚すらないやろな。夢に向かって進み始めたときは、最高に楽しくて充実した時間がすごい速さで過ぎ去っていくことになるからな」
「自分の持つ能力も、全然変わってしまうで。とんでもない集中力が生まれるし、素晴らしいアイデアが降るようにわいてくる。これまでの自分には考えられへんような思い切った行動がとれるようになるし、どんな困難も乗り越えられる強さが身につく。そして、そんな自分は人を惹きつける魅力に満ちあふれ……まさに、身も心も別人になってしまうんや」
「自分は、生きたまま、生まれ変わることになるんやで」
本文 p92-93 ガネーシャの言葉
けれどそれを聞いても「僕」には自信がありませんでした。どちらに行っても怖いならと思い切ってサインをしようとしたのですが…まあ、一筋縄ではいかない展開が待ってます。
こうして主人公の「僕」はガネーシャの課題をひとつひとつクリアしていくわけですが、そのたびにガネーシャには失望させられたりあきれたりを繰り返しながらも、とても素直に問題に取り組んでいて、またガネーシャに対する態度も、今までガネーシャがかかわってきた人たちとは違うために、「僕」によってガネーシャもまた変わっていく過程がとても微笑ましいんですね。
「夢を『持つ』のと『かなえる』のとは別の話だからな」
本文 p111 バクの言葉
「”本物の夢”を持つ人間が何よりも大事にしてるもの。それが、『自由』なんやで」
本文 p116 ガネーシャの言葉
「夢を見つけるための第一歩はな、自分が『本当に好きなこと』を見つけることやねん」
本文 p139 ガネーシャの言葉
「夢とは、『こうなったらどんなに素晴らしいだろう』『こんなことができたらどんなに幸せだろう」と思いを巡らせること。つまり、未来という『分からないもの』に対してワクワクすることなのだ!」
本文 p188 ガネーシャの言葉
ガネーシャと出会った日に教えられた、
「人が生きる上で一番大事なことはな、本当につらいときに『助けて』と口に出していえることやねんで」
という言葉。
あの言葉は、「自分一人で悩みを抱え込まず、人に頼ることが大事だ」という意味だと思っていた。
もちろん、そういった意味合いもあるだろう。でも、それ以上にこの言葉は、「苦しいときに『助けて』と言えるような、『人間関係があること』の大事さ」を表しているのではないだろうか。
本文 p335 僕の気づき
この後「僕」は徐々に成長しながらも、試練に立たされた時にガネーシャの助け舟が現れるので、ある意味ガネーシャに依存するようになってしまいます。そして絶体絶命の時に肝心のガネーシャは…
まだまだこれでごく一部ですが…この辺にしておきますね。
読んでいて、いままで見てきたいろんなことを連想しました 本質的なことって共通しているんですね
この辺りはね、なんだかどらえもんを思い出しました。どらえもんと出会ってからののび太君はドラえもんに依存してましたね。願いのかなえ方はかなりちがいますけどね。そして私はリベ大のYouTubeチャンネル(話題の本「お金の大学」の両学長のYouTube)をたくさん見ているので、どうしても「僕」が「リーマン君」の姿で頭の中を動いてしまうんですよね。まあ…両学長は人間だし、頭がゾウとライオンの違いもありますし(笑)、でも「本当の自由」の大切さを繰り返し教えてくれますからね。(この本の特徴なのかな?主人公の僕だけ挿絵がないんですね、だからどうしてもリーマン君に…)
あと「僕」とガネーシャの別れのシーン、だんだん薄くなっていくガネーシャの姿に、私の大好きな韓国ドラマ「屋根部屋のプリンス」のシーンを思い出して思わず涙が出そうになりましたけどね、ドラマは本当に自分の世界に帰ってしまうのですが…このお話ではこの後まさかの展開が待ってます、笑いの神様を自称される神様たちの物語でもあるので、ひと悶着発生。
出会いと別れについての考察も深かったですね。「別れた後これ以上悲しまないために」についても考えさせられました。人はだれしも必ずいつか別れを経験しますよね。この本もどらえもんも屋根プリも…別世界から来た人が帰っていくことが別れ…だけではないんですよね。人は日常的に出会いと別れを繰り返しているということ、でもその関係性によって、別れは人生を左右する悲しみになることもあるということですよね。あ~こんなところもここで言う「本物の夢」の話とリンクするなぁ…って思いながら読んでいました。
この作品をどう読むか それはたぶん人それぞれ
この作品を読むと、会社での上司と部下の関係や、親子の関係を深く考えさせられるエピソード(神様の親子ですから普通とはだいぶ違いますけど)もたくさん出てきます。いろんな読み方ができる、おそらくは何度も読み返してみたくなる(まあ今は一回目ですけど)本の一つだと言えます。この作品を「自己啓発本」として読むもよし、「小説」として楽しむのもいいと思います。ジャンルは読む人の立場で変わってくるかもしれませんね。
一番すごいのはね、この先どうなる?と思いつつちゃんと「夢」についても答えをくれというよりは、自分で考えるようになるんですね。爆笑しながら楽しく人生を学べる一冊だと思います。私もぜひ、うっかりすっとばしてしまった?1~4も読んでみたいと思います。
最後に「ガネーシャの教え」を項目だけ
- ガネーシャの教え
- 日の出を見る
- 好きな匂い、物、人、場所を見つける
- やりたくない依頼を断る
- 自分の欠点や弱さを告白する
- 生活に「初めて」を取り入れる
- 自分の感情、感覚を丁寧に観察する
- 実物を見る
- 興味を持ったことを一歩深める
- インターネットを一日断つ
- 自然の中でゆっくり過ごす時間を持つ
- 虫の役割を知り、大事にする
- 名作を鑑賞する
- やりたくないことを全部書き出し、やりたいことに転換する
- 怒りの気持ちを伝える
- 苦手な人の信念を読み取る
- 自分と違う分野、文化の人と話す
- 仮体験をする
- 欠点や負の感情を「自分の一部だ」と思う
- 自分と同じ痛みを持つ人を助ける
- 誰かの「ありのまま」を愛する
この中で気になる項目はありますか?この本はこれをとても具体的に書いてある物語でした。私も一気に全部は無理でも、いつかコンプリートしたいことばかりでした。色分けの緑は今までも自分で心がけて実行していたこと、赤はどちらかというと苦手なこと、青は絶対にかなえたいことです。この後全部緑になればいいな、と思っています。何事も行動してみないとね。
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