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夢をかなえるゾウ2 才能とお金がないと幸せになれないの?

  • 書籍データ
    • タイトル 夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神
    • 著者 水野敬也
    • 発行所 (株)文響社
    • 2020年7月14日 第1刷発行
    • 2022年5月24日 第7刷発行
    • 文庫版
目次

ガネーシャとの出会いと貧乏神

いつまでも売れないお笑い芸人は才能がない?でも人は成長するもの

脱サラしてお笑い芸人になって8年め、34歳の西野勤太郎はいまだに「たけのこ爆笑ライブ」を卒業できず、次の「ネクストステージライブ」に出ることができません。今日こそは優勝して…と意気込んで出たステージで、赤ん坊を抱いたへんなおじさんにペースを乱され、自分には才能もないし、もう芸人をやめるしかないと思うほど落胆してライブハウスを出ると、そのへんなおじさんが待っていて、いきなりコンビを組もうと誘います。自分はガネーシャと言って笑いの神様だと名乗るおじさん。この人は頭がおかしいと思いながらも話を聞いてしまう勤太郎。結局言いくるめられて一緒に自宅に帰ります。

「頑張れば夢がかなう」っていうのは、夢をかなえることができた人の言葉じゃないですか。でも、夢をかなえられなかった人はー仮に、その人がどれだけ血のにじむような努力をしていたとしてもーその人の言葉は歴史には残りません。だから、僕たちが知らないだけで、すごく頑張ったのに夢をかなえられなかった人はたくさんいるんじゃないでしょうか。むしろ世の中にいるのは、そんな人たちばかりなんじゃないですか。それがー現実なんじゃないですか。

p25-26

人間は、成長する生き物なんやで

人間はな、この地球に生まれてきたときは「こんなんでほんまにやっていけんのか?」てみてて心配になるくらい無力な存在やったんや。ライオンみたいな牙もあれへん。鳥みたいに空を飛べるわけでもないし、シカやサイみたいに自分を守る角もあれへん。それこそ自分の言う「才能」をな、まったく持ってへん状態で生まれたんや。

せやけど、人間は「成長」したんやなぁ。二本足で立てるようになって、道具作れるようになって、火や言葉を使いこなせるようになった。人間を、他の動物らと決定的に違う存在たらしめたんはー「成長」や。

p26-27

これはライブハウスの前で二人が交わした会話の一部です。たしかに夢をかなえた人は一握りで、かなえられずに生涯を終える人の方がずっと多いですよね。そもそも最初から夢を持たずに与えられた人生を生きてしまう人の方がはるかに多いのも確かです。でもそこから一歩でも「成長」するからこそ人間なんですね。ガネーシャほんとにいいこと言うんですけど、キャラが…。

えっ?8年も貧乏神が住み着いていたの?

翌日目覚めた勤太郎は、枕元に見知らぬ女性が座っていたので驚いて飛び起きます。金無幸子と名乗るこの女性は、以前から勤太郎を知っているというので二度ビックリ。そこに入ってきたガネーシャによると彼女は8年前から勘太郎と同棲しているというのです。全く身に覚えのない勘太郎ですが、なんとこの女性は「貧乏神」でした。お笑いに進むため会社を辞めた時に、センスも才能もないのに脱サラした彼を見つけて、「この人なら一生ついていける」ととりついていたのです。

そしてふと勘太郎がガネーシャの手元をみると、自分の通帳と印鑑を持っています。ガネーシャは闇金から300万円のお金を借りたといいます。顔が違うのにどうやって借りれるの?と思ったら、ガネーシャは自分の顔を勤太郎と全く同じ顔に、そのあと有名人の顔にも変えて見せます。あまりの展開に呆然とする勤太郎の目の前で、ガネーシャはおじさんの姿からゾウの姿に変わります。そして借りたお金をどうしたのかと聞くと、見知らぬ老人たちに「オレオレ寄付」をして使ってしまったと…。勘太郎は目の前が真っ暗になりました。

そんな勘太郎にガネーシャは、3か月したら借金は返せると断言します。3か月後…「ゴッド・オブ・コント」で優勝すれば、その賞金で返せるというのです。しかしどう考えてもプロ・アマを問わず3000組ものお笑いコンビが出るような有名な大会で優勝できるなんて思えません。でもガネーシャは自分がチャップリンを始め歴史上の有名人を育てたから大丈夫だと言い張ります。

どうしてもガネーシャの言葉を信用できない勘太郎ですが、幸子がガネーシャは「夢をかなえるゾウ」と呼ばれているのは本当だと説得します。なによりも他に選択肢がない状態にも追い込まれていたのです。

そういうわけで二人はコンビを組み「ゴッド・オブ・コント」に出場することになり、勘太郎はガネーシャの課題をこなしていくわけですが…その後「ゴッド・オプ・コント」自体が変な方向に向かってしまいます。

ガネーシャと貧乏神の教えとは

「才能がない」を一番の強みにする秘訣は?

コンビを組むことになったものの、ガネーシャが一人でどこかに出かけてしまいます。幸子に聞くと「精神の時の部屋」に行ったと言います。どんなところかと思いきや、そこは「漫画喫茶」のことでした。ガネーシャは「めぞん一刻」の漫画を読んでいるところでした。あきれる勘太郎にガネーシャの答えが「修業の場」だというんです。ガネーシャのこじつけにうんざりしながらも、結局は並んで狭い部屋にいることになった二人(一人と神様)でした。

自分、ワシと最初に会うたとき言うてたやろ。「僕には才能がない」て、せやったら、それを一番のつよみにせえ。自分に才能がない思うんやったら、お客さんの意見聞いて、直して直して直しまくるんや。そしたら必ず天才を越えられる日が来るからな。

最終的に成功する人間ちゅうのは、「自分には才能がない」ちゅう「不安」を持ってる人間なんや。そういう人らが、人の意見に耳を傾けて、試行錯誤していくことで最初のころには想像もでけへんかったような成長をとげるんやで、自分もしってるやろ?天才や天才やてもてはやされたことで、お客さんが喜んでへんようなもん作ってもうてる人らをな。

もちろん他人の批判を恐れずに自分を貫くんも大事やで。でもほとんどの人が他人の意見を聞かへん本当の理由はな、「直すのが面倒だから」やねん。

聞く耳を持つんや、それが「成長」するための最大の秘訣やで

p91-93 ガネーシャの言葉

ここ、ガネーシャ自身も言ってますが、ほんとにいいこと言ってますね。天才を越えるのは凡人の努力と聞く耳。考えてみると自分では人の意見を「聞いている」つもりでも、よくよく考えると自分が聞きたいことだけを選り好みしているケースが多々あるような気がします。それと聞く相手も大事ですよね。お客さんじゃなくて外野の意見ばかり聞いていても、本人は聞いてるつもりの的外れなこともあります。まさに耳が痛いことなので、それすら聞きたくない人も多いのかもしれませんね。

貧乏神が好きな3つのタイプとその対処法

ある日勘太郎は幸子のお願いを聞いて二人だけで出かけることになります。そこで幸子は100円ショップの虜になりますが、何一つ買おうとはせずウインドウショッピングだけで満足だと言います。逆に勘太郎が普通の値段のご飯を食べようというとコストパフォーマンスが悪いとたしなめてきます。ごはんを食べながら会話をしていると幸子が貧乏神が好きなタイプの話をしてくれます。

「ドリーム貧乏」ー略して「ドリ貧」

この人たちは大きな夢を持っているものの、その夢に囚われるあまりお客さんのことが全然見えていない人たちです。お客さんから望まれていないことを頑なに続けているので、「イタい人」なんて呼ばれることもありますね、フフフ。

p111-112 幸子の言葉

「ガネーシャ貧乏」略して「ガネ貧」

ガネーシャ様は、目の前にある誘惑ー例えばタバコや甘いものを一切我慢できません。そういう人というのは、お金があればすぐに使ってしまうし、仕事でも大変そうなことがあるとすぐに避けてしまうので貧乏なことが多いです。

p112 幸子の言葉

「お駄賃貧乏」

勘太郎さんは子どものころ、ご両親から「お使いに行ってくれたらお駄賃をあげる」とか「宿題をしたらお小遣いをあげる」とか言われたことはありませんでしたか?

それが貧乏の始まりなんですよ。

そういう形でお金をもらってしまうと、「お金」=「嫌な作業をするともらえるもの」という考えを持つようにんります。しかも作業をする前からもらえる金額が決まっているので「いかに楽して作業を終わるか」ということばかり考える人になるでしょう。こうして子どものころにもらった「お駄賃」が、アルバイトの「時給」になり、会社の「給料」になります。すると給料の範囲内でしか仕事をしませんし、仕事をできるだけ減らそうと考えるので給料が増えることはありません。

p115-116 幸子の言葉

どれも納得だし、私は後の二つが当てはまってるかも…ついつい甘いものに手を出してしまうし、高校を卒業してから定年を過ぎても1か月も欠かさずに「給料」もらってきましたからね。

幸子は勘太郎が該当する1つ目のタイプについては、勘太郎が貧乏じゃなくなるのが嫌なので答えてくれませんでしたが、2つ目と3つ目のタイプには答えを与えています。

  • ガネ貧…楽しみはあとにとっておいた方が大きくなるという経験をする
  • お駄賃貧乏…「逆」のことをする。お金は「嫌」な作業をしてもらえるものではなく、「楽しい」ことをするともらえるもの。お客さんを喜ばせた分だけもらえるものと考える

なるほど…これは私が最近「お金の勉強」を始めてからよく聞く話と共通していますね。こんな風に今回はガネーシャと幸子、釈迦の教えがいろいろと出てきます。立場の違う人の話を聞きながら、多角的に物事を見なさいということなんでしょうね。

貧乏神らしからぬ助言

「ゴッド・オブ・コント」での優勝を諦めた勘太郎のところに借金取りが押しかけてきます。危機を幸子の神力で乗り切りましたが、幸子は彼らがまた訪ねてくることを案じて、勘太郎に後輩の松田に借金のことを相談するようにアドバイスします。優勝賞金で自分の借金を返してほしいと…それをためらう勘太郎ですが、幸子に諭されます。

私が今までお伝えしてきたこと、覚えていますか?

お金持ちになるためには、愛を楽しむこと

でも、それは「ボランティア」と何が違うのでしょうか。

他人に与えることは大事です。でも、ただ与え続けるだけの人はー貧乏神に好かれてしまうのです。お金持ちになるためには、他人に与えるだけではなく、他人から受け取らなければなりません。

p251-252 幸子の言葉

勘太郎さんは、「いい人」になろうとしていませんか?

「いい人」というのは、他人を喜ばせるのではなく、他人から嫌われたくないという気持ちから自分の欲求を押さえつけてしまう人です。でも、そういう人が何かを手に入れることはありません。なぜならー自分の欲求を抑え続けることで、どんどん「やる気」を失ってしまうからです。

勘太郎さん、自分が望んでいることを口に出してください。そして、他人を喜ばせるのと同じくらい、自分を喜ばせるようにしてください。

自分の欲求を口に出すと、他人の欲求とぶつかります。いい人ではいられなくなります。でもそうやって欲求をぶつけながら、それでもお互いが喜べる道をみつけていくことーそれが、成功するための秘訣なのです。

p252 幸子の言葉

貧乏神の幸子が、勘太郎にお金持ちになるためのアドバイスをしました。実は貧乏神は、とりついた相手が貧乏でなくなると死んでしまうのです。自分の命と引き換えに勘太郎を力づける幸子。二人の関係はどうなってしまうのか…それもまたこの物語のとても大切なポイントなんですね。ここに書いたほかにも、まだまだ役に立つ言葉やエピソードが満載なので、興味を持たれた方は一度読んでみてくださいね。

今回のガネーシャの教え

本書の使い方

本書に登場する「課題」は、物語の主人公だけではなく、あなたの人生にも役立つ内容になっています。ガネーシャの出す「課題」は過去の偉人たちが実行していたものであり、また、ガネーシャ以外の神も、それぞれの立場からあなたの人生に役立つ助言をしてくれます。

本書のテーマは「お金」と「才能」です。もし、あなたが大きな夢に向かって羽ばたいたとしても、その分野で才能を発揮できなかったらどうなるでしょう。おそらくあなたの生活は苦しくなり、その生活を続けるうちに、夢をかなえようとしたことを後悔し始めるかもしれません。

では、夢に向かって挑戦することは、あなたを不幸にするのでしょうか?人は、夢など抱かない方が、幸せに生きられるのでしょうか?

この問いの答えは物語が進むにつれて明らかになりますが、言葉だけではなく本質を理解するために、「課題」を実行してみてください。「課題」は、物語の主人公だけではなく、あなた自身の夢と深くかかわっています。ぜひ現実の世界で、その答えを実感してみてください。

さあ、それでは、一度大きく深呼吸をして。

新たな「課題」へと進みましょう。

p80-81
  • ガネーシャの教え
    • 図書館に行く
    • 人の意見を聞いて直す
    • 締め切りをつくる
    • 失敗を笑い話にして人に話す
    • 優先順位の一位を決める
    • やりたいことをやる
  • 金無幸子の教え
    • 楽しみをあとに取っておく訓練をする
    • プレゼントをする
    • 他の人が気づいていない長所をホメる
    • 店員を喜ばせる
    • 自分が困っているときに、困っている人を助ける
    • 欲しいものを口に出す
    • 日常に楽しさを見出す
  • 釈迦の教え
    • 自分と同じ苦しみを持つ人を想像する

※ 赤 苦手なこと 緑 いままでもやってきたかな? 青 頑張りたいこと

こうしてみるととても当たり前のことなんですが…これがなかなかできないんですね。勘太郎はこれらの教えを一つずつクリアしていくわけですが、物語はどんどん意外な方向に流れていきます。これをドラマでできたら面白いだろうな…と思いながら読んでいましたが、神様のキャラは実写では難しいでしょうね。アニメ化ならいいかも、なんて思いました。

さて、「ゴッド・オブ・コント」には本物の神様たちが大挙参加することになり、死神まで登場してきます。お笑い芸人のというよりは神様のコンテストになってしまう状態の中で、果たして勘太郎は夢をかなえることができるのでしょうか?

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