- 書籍リスト
- タイトル 夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え
- 著者 水野敬也
- 発行所 (株)文響社
- 2020年7月14日 第1刷発行
- 2022年1月24日 第5刷発行
- 文庫版
仕事と恋愛 どっちも叶えたい そんな人におすすめの作品
人生下り坂、それでもまだあきらめきれないときにすがるもの
彼氏いない歴5年、貯金もない会社員の私。「占い師を見てきた師」を自認していたけれど、ことごとく自分のことを言い当ててくる赤城さんについつい前のめりになった私は、24万円もする黒光りするガネーシャの置物を買わされてしまいます。
婚活パーティーで知り合った理想の男性園山さんとハワイでバカンス、のはずが、突然園山さんがガネーシャに変わります。もちろんそれは夢。一日も早く今の自分を抜け出して理想の男性と結婚して優雅な人生を送りたい私は、銅像のガネちゃんを撫でようとした瞬間、ベッドの上に違和感を感じます。そして、そここにはなんとゾウが寝そべっていました。
最初に見た時に「気持ちわるっ」とつぶやいたことを根に持つガネーシャは、「ワシ、自分のこと助けへんからな」と言います。せっかく願いが叶うという銅像を大枚をはたいて買った私は、なんとかご機嫌をとろうとしますが、逆にガネーシャを怒らせるばかり。極めつけは「あんたなんて、神様じゃないわ『メタボリック神ドローム』ょ」と口にしてしまいます。
その瞬間絶叫したガネーシャは、強烈な光を放って筋肉むきむきの真っ黒な姿に変身しました。そしてどすの利いた声で「自分、言うたらあかんことを、言うてしまったみたいやな」と、とうとう神様を怒らせてしまうことになります。そして半ば強引に契約を交わすことになります。見たことのない文字で書かれたその契約書の中身を聞くと
ここにはな、ワシの言うことを一度でも聞かんかったら、自分の将来の希望を根こそぎいただくて書いてあるんや
まあええやんか。自分みたいに銅像買うたら夢が全部かなうちゅう甘い考えの人間に、最初から希望なんかなかったわけやし
P36
それにしても強烈なガネーシャの行動
そしてガネーシャは部屋の中で「必要な物」を制限時間の中で言わせます。そして言わなかったものをことごとく破壊してしまいます。まあ簡単に言うと「断捨離」なんですが、そのやり方が強烈です。止めようとするときはすでに遅し、「お店の中の最後の一個」だから買った人気のオーブン、高かったワンピースも高価なものも混ざっているパワーストーンのコレクションも、自分が言い忘れたものはすべて粉々になってしまいました。その様子に思わず崩れ落ちる私にガネーシャは、今は聞けないだろうからあとで聞いてと言ってスマホに録音をし始めます。
住んどる部屋を見たら、その人の心理状態が分かるちゅうのはよう言われることやけど、自分、こないな部屋に住んどったら、本当に欲しいもんは絶対手に入れられへんで。それなんでか分かるか?
それはな、この部屋には、自分が「ちょっと欲しい物」ばっかおいとるからや。使わへんオーブンかて、着いへん服かてそうやろ?ちょっと欲しいと思たから飛びついて買うてもうた。そんで一回手に入れてまうと、今度はもったいなくて捨てられへんようになる。そうやって、自分の周りには「ちょっと欲しい物」があふれることになるんや。
P59
ここを読んで私も部屋を見回してみましたけど…ほんとにその通りだなと。よくミニマリストという言葉を聞きますけど、戦時中物のない時代を生きてきた「捨てられない」親世代の影響もあるかもしれないですが、結局「一度手に入れたもの(既得権も含めて)」を手放せないのは自分の責任なんですよね。そういう基準で見直すと捨てられるものの方がたくさんあるような気がしてきました。よく考えたら必要な物はその都度買えばいいんですよね。ただ…これ実行するのにはガネーシャみたいに破壊することもできないから時間がかかりそうです。でも一つの方向性は見えた気がします。そして何よりも
部屋の大きさが限られてるみたいにー自分が持てるもんも、生きてる時間も、全部限られてるんやからな
P60
これほんとに身につまされました。
たまたま昨日、毎週楽しみにしている週末ビフォーアフターの動画を見たのですが、75歳のおばあちゃんがものすごい衣装もちで、自分の部屋だけではなく、広いのに奥に行けない自分専用のウォークインクローゼット、隣の仏間、廊下や階段下まで、6人家族で住む2階建ての1階のほぼ全部のスペースに、山のような服を自分で整理もできないで、引き出しという引出しにもハンガーがかかっていて、一体何枚の服があるの?この引出し開ける日があるの?床に山積みの洋服の下の方はどうなっているの?という状態を「片付けてもらえる」と喜んでいる姿を見て…思わずこのうちどれだけの服を着ないで終わるのかな?30年前のオーダーの服を着たらどうなるの?なんて「?」だらけの状態でした。まさにこの言葉がドンピシャな状況なんです。思わず純子先生の前にガネーシャの断捨離が必要だわ、って思いました。その動画の続きはまた来週なんですが…
さすがにここまでひどくはないですが、私も実家の片付けをしてみて、これもう使わないよねという食器とかが大切に押し入れの長押なんかに入ってるんですね。常々かえってもったいないな、道具は使ってなんぼだよねと思っていますが、かくいう自分もしまいっぱなしのものはあるんですよね。
そして…極めつけにガネーシャは、24万円もした偽のガネーシャ像の首も飛ばしてしまうのでした。
あれ?ガネーシャがもう一人…どっちが本物?黒ガネーシャの教えは
そんな中ガネーシャの課題で、一度首のとれたガネーシャ像を返品してくるように言われた私。おそるおそる占い師の赤城さんのところに向かいますが、そこにもう一人のガネーシャが現れるのです。そしてどちらが本物か言い争いになり、私と赤城さんのどちらが園山さんを落とせるか…の勝負が決まりました。
そんな中私は赤城さんに自宅に誘われます。豪華なマンションにびっくりした私は、それがそちらの黒ガネーシャの教えによってもたらされたものだと聞かされます。ガネーシャのことを疑い始めた私は、黒ガネーシャの教えを聞きたいかと聞かれて思わずうなづいてしまいます。
ほんならまず「価値」ちゅうもんについて教えたげまひょ。「価値」さえ知っとったら、仕事で客に物売るんも、男に自分を売り込むんも簡単になりまっせ。
p158
そして高額で買ったガネーシャ像をたくさん見せられるのです。
人間ちゅうのは、「良いもの」に価値を感じるわけやおまへん。「少ないもの」に価値をかんじるんですわ。ダイヤモンドと同じくらい光るガラスが作れたとしても、依然としてダイヤモンドに価値があるんは数がかぎられてるからでおます。せやから人に物を売るときは、どんだけ手に入りにくい物なんかかを感じさせることかが大事なんですわ。
p159
人は、「お金が増えるかもしれない」ちゅう「希望」に銭払てますねん。人からその希望をいかに引き出すか、これがお金持ちになる秘訣ですねん。
そんで、ここからが重要なポイントなんでおますけど
その希望、かなえたらあきません。
人間ちゅうのは、希望をかなえたら飽きてまいまんねん。せやから希望は希望のままーつまりかなえんへんようにせんとあきまへん。もし、誰もが必ず成功してしまうダイエット法があったら、ダイエットの会社が潰れてまいますがな。ダイエット産業ちゅうのは、人を確実に痩せさせるわけゆおまへん。「痩せるかもしれない」ちゅう「希望」を売ってまんのや。
p160-161
そうして黒ガネーシャは私に「黒ガネーシャ像を売る」という課題と、ガネーシャが首にかけているペンダントを取ってくることを要求するのです。私はその言葉に乗って、ガネーシャのペンダントを奪ってしまうのですが…
ただのゾウになってしまうガネーシャを救うために、商売の神様との一戦
ガネーシャのペンダントを手に入れた黒ガネーシャと赤城さん、実は二人は商売の神と言われる稲荷でした。かつては崇められていた稲荷ですが、今では偽の銅像で荒稼ぎをするまでに落ちぶれてしまっていたんですね。
ただのゾウになってしまったガネーシャを見て後悔しても、時すでに遅し。唯一そのペンダントを使えば元のガネーシャに戻れると知った私は、黒ガネーシャ像をどちらがたくさん売れるかを勝負しようという稲荷の提案に、別のものを作って売ることにします。そして、釈迦や元貧乏神の幸子、そして園山さんまで動員されて一つのプロジェクトが動き始めます。その勝負の行方は?
今回のガネーシャの課題
本書の使い方
これからあなたには、ブラックガネーシャから出される課題を実行してもらうことになります。
ブラックガネーシャの出す課題は、過去に偉人たちが実行してきたものであり、あなたの夢をかなえる大きな手助けとなるでしょう。しかし、それゆえに、厳しい内容であったり、実行するのが困難なものもあります。そこで、改めて考えてもらいたいのですが、
あなたは、本当に契約を交わしてしまっていいのでしょうか?
この物語の主人公は強引に契約を交わされてしまいましたが、あなたはまだ、ブラックガネーシャと契約を交わしていません。そして、契約を交わさない方が、あなたにとって幸せかもしれないのです。ブラックガネーシャは言いました。
「夢をかなえたいのなら、それ相応の『痛み』が必要である」
ガネーシャの言う痛みが一体どんなものなのかあきらかになってはいませんが、それは、あなたを不幸にしてしまうものかもしれません。「夢をかなえることと、幸せになることは違う」これはよく言われる言葉ですが、ガネーシャは「夢をかなえる」とは言っていますが、「幸せにする」とは一言も言っていないのです。ガネーシャとの契約を交わす前に、そのことを一度よく考えてみてください。
ーそれでもなお、あなたが夢をかなえたいというのであれば、もう止めることはできません。
一度大きく深呼吸して、ブラックガネーシャの課題に取り組みましょう。
P38-40
ここねすごく大事なことをさらっと言っている気がします。実際この「私」はパワーストーンを集めているぐらい「他力本願」だったんですね。そしてブラックガネーシャによる「ブラック」な教えが始まることになります。
なるほど…ただ人の言うことをうのみにするのではなく、必ず自分の頭で考えて、それから行動に移すことを促していますよね。実はどんな課題よりここが肝心な部分でもある気がします。よくいろいろなアドバイスが失敗すると、自分のやり方を棚に上げて、アドバイスしてくれた人のせいにする人が本当に多い気がします。それから最近多いオレオレ詐欺とか〇感商法とか…信じ込んで飛びつく前にいったん立ち止まって考える癖って、ほんとに大事なことですね。
また痛みを伴うことは、まずそれなりの覚悟を決めないと実行するのは難しいということでもあります。でも実は「楽」をうたったものの方がもっと危険だったりしますけどね。
- 自分の持ち物で本当に必要な物を残し、それ以外は捨てる
- 苦手な分野のプラス面を見つけて克服する
- 目標を誰かに宣言する
- 次の順序で一つの分野のマスターに挑戦する
- うまくいっている人のやり方を調べる
- 一度自分のやり方を捨て、うまくいっている人のやり方を徹底的に真似る
- 空いた時間をすべて使う
- 合わない人をホメる
- 気まずいお願い事を口に出す
- 今までずっと避けてきたことをやってみる
- お客さんの目線で自分の仕事に感動できることを見つける
- 一度儲けを忘れてお客さんの喜ぶことだけを考える
- 自分の考えを疑ってみる
- 自分にとって勇気が必要なことを一つ実行する
- 優れた人から直接教えてもらう
- 一緒に働いている人に感謝の言葉を伝える
- 自分で自由にできる仕事を作る
- 余裕のない時にユーモアを言う
※ 赤 苦手なこと 緑 いままでもやってきたかな? 青 頑張りたいこと
ガネーシャ最後の課題
「最後の課題」の前に
今、この文章を読んでいるということは、あなたはブラックガネーシャとの契約を交わしてしまっているということです。つまり、あなたは夢をかなえる方法の「真実」を知ってしまいました。夢をかなえる方法の「真実」とは何か?
それは、夢をかなえるためには「つらいことや苦しいことは、決して避けられない」ということです。
もちろん人にはそれぞれの夢があり、夢の定義も人によって異なるでしょう。しかし、この物語の主人公のように、多くの人が望む一般的な夢や成功を手に入れようとするのなら、それ相応の魅力や価値を身につけなければなりません。そのためには、多くの人が避けて通ったり、途中で引き返してしまう苦しい道のりを進み続ける必要があります。ガネーシャは、その、道を行くあなたをサポートすることはできますが、苦しい道のりを「楽」にすることはできません。
しかし、多くの人は目の前の苦しみを避けようとします。
だからこそ、世の中には、「努力しなくても成功できる」「自分が働かなくてもお金持ちになれる」などという、魔法のような成功法則があふれることになるのです。しかし、こうした「偽りの希望」に飛びついてしまうと、最初は心地いいかもしれませんが、後から大きな苦しみを味わうことになります。「結局、その方法では夢はかなえられない」という現実を、後から突き付けられることになるからです。むしろそちらの方が、本当の意味で「苦しい道」を選んでいると言えるかもしれません。ガネーシャは言いました。
「誰もが二つの人生を持っている」と。
夢をかなえるためには、つらいことや苦しいことを乗り越えねばなりません。しかし、ひとたびその苦しみを乗り越えれば、その向こうには、最初のころには想像できなかった大きな喜びが待っています。そして、その喜びを知った者だけが進むことのできる人生があるのです。
ー今から、ブラックガネーシャの課題が出されます。
この課題は、ブラックガネーシャが言うように、今まで以上に困難なものになるでしょう。
しかし、乗り越えるのが苦しいからこそ、あなたの夢を本当にかなえてしまう力があるのです。ぜひ、課題をクリアしてください。そして、ガネーシャの言う、
「もう一つの人生」
を経験してみてください。そのときあなたは、あなたがまだ知らなかった世界とー知らなかった自分とー出会うことになるでしょう。。
p378-381
- 目の前の苦しみを乗り越えたら手に入るものをできるだけ多く書き出す
- 欲しいものが手に入っていく「ストーリー」を考えて、想像をふくらませる
- 手に入れたいものを「目に見える形」にして、いつでも見れる場所に置く
- 自分流にアレンジする
今回の物語を読んでの感想 苦しみを乗り越えるための最初の一歩
「最後の課題の前に」の中にある「偽りの希望」、これはいろんな詐欺事件で目にするものですね。そして作中の「私」も見事に引っかかってしまって、ガネーシャをただの大食いでフンを撒き散らす子ゾウに変えてしまうことになりましたが。物事の本質を見極めるためには、考えることが本当に大切なことだと教えられますね。
実際にほとんどの詐欺やぼったくり商材の誘い文句って、出だしは本当のことで、最後に嘘を混ぜ込んでいるみたいなのでソ;、出だしにつられてすべてをうのみにしない考え方が必要ですね。稲荷の言葉にありましたけど、希望を抱かせて絶対に望みは叶えない、そんなことにお金を巻き上げられないようにしないといけないなと思います。ここでも「夢」をかなえるのに楽な道はないという言葉が繰り返し出てきますね。
今回の作品は女性の会社員ということで、私もず~っと会社員をしてきたので分かる部分も多かったですね。ただ私よりずっとパワフルで欲張りな女性です。神様であるガネーシャにさえ、気に入らないと鼻をムギュっと握ったり、耳を引っ張ったり毒舌を吐いたりするほど気性が激しい人です。その女性がガネーシャの課題でどんなふうに変わっていくのか、彼女の仕事は?恋愛や結婚は?もちろん今回も一つの答えがちゃんと出ています。それが納得のいくものかどうかは読む人次第だと思いますが、夢は別の形でかなう場合もあるんですね。
ここに引用したのは本当にごく一部なんですが、どれもこれもとても大切なことを教えてくれます。一つの課題だけでも、とてもたくさんの名言や実例が挙げられています。本の最後にまとめてあるガネーシャの課題と名言集だけでも、とてもいいことがたくさん書いてありますけど、「いいこと」を読んだだけではだめだということを、シリーズの本の中でガネーシャは何度も言っています。
なによりも小説としてもとても楽しめる作品です。難しいことをわかりやすく教えてくれる作品ですが、こんな神様ほんとに出てきたら最初は嫌でしょうね。でもガネーシャのわがままな行動も、単にだだをこねたり落ち込んでふて寝している姿さえ、最後はかわいいと思えるから不思議です。
私も早く実践に…と思いますが、このシリーズもう一冊残っているので、まずは読んでからにしますね。
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